2023/10/12
個人の住民税の納税額は、前年の所得によって決まります。しかし住民税の仕組みや計算方法は複雑で、自治体によっても違いがあるため、「自分が納める住民税額をどのように計算すればいいのかわからない…」という方も多いかもしれません。
当記事では、住民税の計算方法と節税する方法のほか、住民税をクレジットカードで納付するメリットについて解説します。
目次
住民税は地方税の1つで、一定以上の収入がある人が、住んでいる自治体に納める税金です。「道府県民税(都民税)」と、市区町村に納付する「市町村民税(特別区民税)」の2種類があり、両方を総称して住民税といいます。なお、この2種類の税は合算されて納付するものです。
私たちは、日々の生活の中で、消防や救急、上下水道、学校教育など、数多くの行政サービスを受けています。住民税は、それらの行政サービスに必要な費用を、その地域に住んでいる住民で分担するためのものです。
なお、住民税には個人住民税と法人住民税がありますが、当記事では個人が納める個人住民税について解説します。
住民税の納税額は前年の所得によって決まり、その年の1月1日現在の居住地の自治体に納めます。納付方法は、「特別徴収」と「普通徴収」という2種類があります。
・特別徴収
特別徴収は、会社員や公務員といった給与所得者が、毎月の給与から天引きの形で住民税を納付する方法です。勤務先の会社などが、個々の従業員の給与から住民税を控除し、本人の代わりに自治体に納めます。
・普通徴収
普通徴収は、自治体から送られてくる納税通知書を使って、納税者が自分で納付する方法です。自営業や個人事業主、前年に一定以上の所得があった無職の方などは、この普通徴収で住民税を納めることになります。
住民税の税額は、「均等割」と「所得割」という2種類の税金を合計した金額です。厳密には、そのほかに利子割、配当割、株式譲渡所得割という金融商品にかかる住民税もありますが、一般的には、住民税とは所得割と均等割の合計を指します。
・均等割
均等割は、前年に一定以上の所得があったすべての人が、均等に負担する住民税です。均等割の税額および税率は、原則として5,000円(道府県民税1,500円・市町村民税3,500円)です。ただし、防災費用の確保のため、2014年度から2023年度までの10年間は、道府県民税・市町村民税ともに500円ずつ引き上げられています。
・所得割
所得割は、前年の所得金額に応じて課税されます。所得割の税額および税率は、課税所得金額の10%(道府県民税4%・市町村民税6%、政令指定都市は道府県民税2%・市民税8%)です。
なお、均等割の金額や所得割の税率は、自治体によって異なる場合もあります。例えば、神奈川県横浜市の2023年度の住民税は、均等割が6,200円(県民税1,800円・市民税4,400円)、所得割が課税所得金額の10.025%(県民税2.025%・市民税8%)です。
また、扶養親族の有無などによって、住民税の非課税上限額や均等割の金額が変わることもあるため、詳しくはお住まいの自治体に確認してください。
ここからは、住民税を計算する方法を見ていきましょう。住民税の税額は、次のような手順で計算します。
まず、前年の1月1日から12月31日までの総所得金額を計算します。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。会社員やパートタイム従業員などの給与所得者は収入から給与所得控除を差し引いた額、自営業や個人事業主は年間売上から必要経費を差し引いた額が所得となります。給与所得のほかに副業などで雑所得がある場合は、すべて合算しましょう。
<総所得金額の計算式>
合計所得金額−損失の繰越控除=総所得金額
所得から差し引くことができる所得控除を確認します。所得控除には、すべての人に適用される基礎控除のほか、要件を満たした場合に適用できる扶養控除や配偶者控除などがあります。
「1」の総所得金額から、「2」で確認した所得控除額を差し引いて、課税所得を求めます。この課税所得が、住民税を計算するベースとなります。
<課税所得の計算式>
総所得金額−所得控除額の合計=課税所得金額
「3」で算出した課税所得金額に所得割の税率を掛けて、所得割の金額を計算します。
<税額控除前の所得割額の計算式>
課税所得金額×税率(10%)=税額控除前の所得割額
「4」で算出した所得割の金額から、税額控除を差し引きます。税額控除とは、税金から該当する控除金額を直接差し引くことができるもので、配当控除や寄附金特別控除(ふるさと納税など)などがあります。
<税額控除後の所得割額の計算式>
税額控除前の所得割額−税額控除の額=税額控除後の所得割額
所得割から税額控除を差し引いた金額に、均等割を加え、住民税の納付額を算出します。
<住民税の納付額の計算式>
税額控除後の所得割額+均等割額=住民税の納付額
「住民税の負担を少しでも減らしたい…」と考える方もいるでしょう。節税には次のような方法があります。
1年間の医療費の合計額が10万円(年間所得が200万円以下の人は総所得の5%)を超える場合は、上限200万円までの医療費控除を受けられます。医療費控除を適用すると課税所得が減るので、その分納税額を軽減することができます。
また、医療費控除といずれか一方だけ選択できる、セルフメディケーション税制という制度もあります。セルフメディケーション税制では、ドラッグストアなどで医師の処方がなくても自分で選んで購入できるOTC医薬品の購入費用が年間1万2,000円を超えた場合、上限8万8,000円までの控除が受けられるものです。医療費控除との併用はできないので、どちらがよりメリットが大きいかを考えて選択しましょう。
なお、医療費控除やセルフメディケーション税制の適用を受けるには、確定申告が必要です。
会社員などの給与所得者で、業務にかかる支出が多い場合は、特定支出控除を適用できる可能性があります。特定支出控除とは、「特定支出」と認められる支出があった場合に、一定の金額を所得から差し引くことができるものです。特定支出に該当するものには、個人で支払う通勤費、転勤に伴う引越し費用、研修費、資格取得費、業務に関する書籍の購入費用などが該当します。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、個人が任意で加入できる私的年金制度の一種です。iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象になります。
ふるさと納税を行うと、寄附金から2,000円を引いた金額が翌年の住民税から控除されるうえ、寄附先から返礼品を受け取れるものもあります。ただし、控除額には収入や家族構成などに応じて上限があるので注意しましょう。
下記のいずれかの条件に該当する方は、住民税が非課税になります。条件に応じて、自分が該当するかどうかを確認してみましょう。
<住民税が非課税になる方>
自営業や個人事業主など、住民税を普通徴収で納めている方は、住民税のクレジットカード納付が可能です。2023年4月1日からは、地方税統一QRコード(eL-QR)を活用した新たな地方税の納付方法が導入されました。納付書に印字されている地方税統一QRコード(eL-QR)を読み取ることで、クレジットカードやインターネットバンキング、スマホ決済アプリを使って簡単に住民税を納付できます。
税金をクレジットカードで納めれば、手間もかからず便利です。住民税をクレジットカードで納付するメリットを、注意点とともにご紹介しましょう。
クレジットカードで住民税を納付するメリットには、下記のようなものがあります。
・思い立ったときに納付ができる
クレジットカード納付はオンラインでの手続きになるため、納付期限内であれば自宅などから好きな時間にいつでも住民税を納めることができます。わざわざ現金を用意したり、コンビニやATMに出向いたりする手間がかかりません。クレジットカードの利用履歴は利用明細で確認できるので、家計管理もしやすくなります。
・ポイントがたまる場合もある
住民税をクレジットカードで納付すると、通常のお買い物と同様に、金額に応じたポイントがたまるクレジットカードもあります。納税額が同じでも現金納付ならポイントはつきませんから、クレジットカード納付のほうがおトクといえるでしょう。
・手持ちの現金がなくても納付が可能
クレジットカードは後払いのシステムなので、手元に現金がなくても住民税を納めることができます。住民税をはじめとした税金には納付期限があり、期限を過ぎると延滞税などの対象となることがあります。クレジットカード納付なら、実際にお金が引き落とされるのは後日になるため、「手持ちの現金が足りなくて納付期限までに納税できない」という心配も軽減されるはずです。
便利なクレジットカード納付ですが、利用時には知っておきたい注意点もあります。主なポイントには下記があります。
・利用料や手数料が発生する
住民税をクレジットカードで納付すると、自治体や金額によってシステム利用料(決済手数料)が発生します。システム利用料の金額は、自治体や利用するシステムによって異なります。例えば東京都の場合、納付額1万円までは37円(税別)、以降1万円ごとに75円(税別)がかかります。
・支払い方法が限られる
住民税のクレジットカード納付は2回払いやボーナス払いには対応しておらず、一部のカードは分割払いができないこともあります。対応可能な国際ブランドも自治体によって違いがあるので、該当する自治体の公式サイトなどであらかじめ確認しておきましょう。
・領収書が発行されない
そのほか、自治体によっては、クレジットカード納付では領収書が発行されません。そのため、支払い内容はクレジットカードの利用明細で確認する必要があります。どうしても領収書がほしい場合は、自治体に確認するか、金融機関窓口またはコンビニで現金納付をしましょう。
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▼国税
▼地方税
住民税は、納付書を使って納める普通徴収であれば、クレジットカードでの納付が可能です。また、住民税のほかにも、クレジットカードで納付できる税金にはさまざまな種類があります。税金の納付をクレジットカードで行えば、普段のお買い物に加えてさらに効率よくポイントをためることができます。住民税を納付する際には便利なクレジットカードを活用して、おトクにポイントをためましょう。
※カード発行には所定の審査がございます。
※当記事は2023年10月時点の情報となります。